世界史(中国皇帝編28)欽宗

奇数週木曜更新　世界史　中国皇帝編　今日は欽宗(在位1125~27)北宋最後の皇帝(9代)

1125年、父の徽宗が金に対する詐術的な外交政策に失敗し、金は北宋に対して大軍をもって攻撃を行った。徽宗は「自らを罪する詔」を出し、帝位を長子である欽宗に譲り上皇となる。即位した欽宗は、賠償金の支払いと領土を割譲する条件で金と和議が成立することとなった。

しかし金軍が撤退すると、北宋の官人の間では金に対する強硬論が主張されるようになり、賠償金や領土割譲を拒否する方針に転換した。この北宋の違約に、金は再び開封(北宋の都)を攻めて陥落させた。徽宗と欽宗は金軍の捕虜となる。（靖康(せいこう)の変）徽宗・欽宗は共に庶民に落とされ、上京(黒竜省ハルビン)に連行された。

澶淵(せんえん)の盟(世界史中国皇帝編25 太宗(趙匡義)参考)・靖康の変・靖難(せいなん)の役(1399〜1402:明の建文帝が永楽帝に皇位を剥奪された事件)は言葉が似ていて間違えやすいので注意。

1127年、欽宗の弟・趙構（高宗）が南宋を興すと、欽宗は複雑な立場に立たされる。欽宗の南宋帰還が認められれば、高宗は簒奪者とされる可能性があった。これは、宋が中国の歴代王朝の中でも特に正閏論(せいじゅんろん: 中国及び漢字文化圏において、王位の正統性がどの王朝にあったかについての議論、日本では南北朝の天皇がどちらが正当かという議論で使われる)が厳格な時代であったためである。金の側も欽宗の帰還を計画したが、高宗から抑留継続の要望が婉曲に出され、結局南宋への帰還は実現できなかった。